こんばんわ。名古屋市中川区の長良行政書士事務所です。
最近はお墓のことについて書いていることが多いような気がします。
今日もお墓の話です。個人の問題でもあり、社会問題にもなりつつあるお話なので他人事とは考えずに最後までお読みいただければ幸いです。
無縁墓とは?
無縁墓という言葉をご存知でしょうか?似て非なる言葉に「無縁仏」があります。実際に同じような意味合いでとらえることもありますが、ここでは明確に異なる定義をしておきます。
無縁墓・・・管理、承継する人のいない(または不明な)謂わば放置されているお墓
無縁仏・・・供養をしてくれる人のいない仏様
区別する意味はそれほどありませんが、このページでは管理・承継する人(または不明な)お墓についてのお話になりますので、そこだけ覚えておいていただければ大丈夫です。
無縁墓の問題点
無縁墓の問題は、管理・承継する人がいないために放置され、周囲の管理されたお墓と違い、雑草やコケなどが生え景観を悪くするだけでなく、墓地の管理料なども未納となるため、墓地全体の管理にも支障をきたしてしまうことになります。
管理に支障をきたすということは、その無縁墓を管理するために他の墓地所有者に負担を按分する。つまり墓地の管理費の値上げに繋がってしまいます。
また、年月が経過しているとはいえ、何の供養もされない仏様が増加してしまうのも大きな問題と言えます。
なぜ、無縁墓が増えるのか?無縁墓の現状
では、無縁墓が増えているのはなぜでしょうか?
やはり少子高齢化が大きな要因となっています。お墓を継承する子供の絶対数が少なくなり、管理に手が回らなくなって、お墓について引き継ぐ前に亡くなってしまう。というケース。
そして、それと同じく大きな要因として若年層のお墓に関する意識の希薄化が要因となっているようです。
無縁墓の現状としては、地方や管理している霊園等によっても異なるようですが、多いところでは墓石の半数程度が無縁墓となっているところもあるようです。また、無縁墓が増えている原因が上述の通りであるため今後さらに増加していく可能性が高いとみられています。
自分のお墓を無縁墓にしないために
自分のお墓、引き継いできたお墓を無縁墓としないためには
- しっかりと後継者を決める
- 墓じまいをする
のどちらかをする必要があります。特に①の場合は、自分の世代の次の世代以降のことも考えなければいけません。
例えば、お子さんにお墓の管理を引き継ぐとしても、そのお子さんに後継者がいない場合のことも想定して話し合いをする必要があります。
墓じまいについては、別ページにて解説しておりますので、そちらをご参照ください。
無縁墓をどうするか?
少し目線を変えて、今ある無縁墓はどうすればいいのでしょうか?
無縁墓の問題はそう簡単なものではありません。お墓のことですからお分かりいただけるかと思いますが、物を壊したり撤去したりするのとは訳が違います。法律で杓子定規に決められるものではないのです。
そうは言っても、何らかの基準や手続きを設けないと延々とそのままになってしまいます。そこで、関係してくる法令が「墓地、埋葬等に関する法律」の第5条と「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」の第2条と第3条です。
具体的な法令の解説はここでは割愛させて頂きますが、一定の手続きを経て無縁墓を処分することが出来ることになっています。
無縁墓を処分する手続きの流れ
- 無縁墓の写真を撮影し、位置図を作成する。
- 無縁墓の権利者に1年以内に申し出るよう官報に掲載し、見やすい場所に立札を1年以上掲示する
- 立札を建てた写真、その他市町村長が定めた書類を準備する
- 市町村長の許可を得て改葬する
ただ、問題点として法令に定められた改葬の手順を踏んだからと言って、私法上の責任(損害賠償等)を完全に免れることが出来るわけではない。ということです。また、法令の手順を踏まずに撤去してしまうと私法上の責任だけではなく、刑法上の責任を問われる可能性すら出てきます。
実際に、私法上の責任を問われた裁判例もあります。
では、そのリスクを最小限に抑えるためにはどうすればいいのか?ですが、やはりキチンとした手続きを踏んで改葬するのが一番だと思います。
具体的には
- 墓地の使用者(またはその相続人や相続権のありそうな親族)を調べて連絡する。(連絡が実際に繋がるか否かは別問題です。)
- 墓地埋葬法施行規則に規定された改葬手続きよりも厳格に手続きを踏む
- 立札に関して定められた1年よりも長く掲示する
- 掲示した立札の写真を定期的に撮影し記録する
- 墓地管理料の未納額をきちんと明細化する。(縁故者が判明した場合には請求ないしは通知する。)
こういった手続きを証拠を残しながら進めていくのが自衛の策として一番かと思います。
これから無縁墓を作らないために
今後増えていくであろう無縁墓を出来るだけ出さないように、必要であれば墓地使用規則や管理規約の改定(策定)をした方がいいかもしれません。
弊所でも墓地使用規則等の策定・改定をお手伝いしております。
お気軽にお問い合わせください。
また、無縁墓となる傾向として顕著なのが、墓地使用料(管理料)の滞納です。早期に対応することで墓地使用者の相続発生を確認できたり、改葬を促したりすることができます。
未納が発生した段階でのご相談が一番早い解決となり得るものです。
未納使用料の催促についても予防法務の一環としてお手伝い致します。あわせてご相談ください。
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